春風沈醉的晩上

シネマライズにて昨日、『スプリング・フィーバー』をみた。

夫ワン・ピンの浮気を疑う女性教師リン・シュエは、その調査を探偵に依頼し、相手がジャン・チェンという"青年"であることを突き止める。
夫婦関係は破綻し、男ふたりの関係も冷え込んでしまう。その一方、探偵とジャンは惹かれあっていく。
ジャンと探偵とその恋人リー・ジン。奇妙な三人の旅が始まった・・・。               映画チラシより

映画『スプリンク・フィーバー』
映画自体はものすごく純粋に、愛についての映画です。同性愛もふくむ三角関係が二つ。言葉で多く説明せずに人物たちの行動をカメラは追っていく。だから少しわかりづらい部分もあるし、結構な性描写にちょっと引きつつも、映画がすすむにつれてどんどん入り込んでいってしまいました。私は中国の現状を理解しているわけではないのですが、シーンそれぞれにどことなくリアリティを感じさせます。きっと世界共通の感覚なんでしょう。物語後半の、三人の旅の場面は名シーンの連続。カラオケシーン、プールシーンは切なさと希望がぐちゃぐちゃに入り混じっていた。「私だったらここで終わらせとく」と思ったのですが更に続きがあるのはさすが。
ものすごくよかったです、これ。上映中も場面場面で少しないてしまったのだけど、本編おわってエンドクレジットが流れているときドバーっと泣いてしまった。それで映画館からでて渋谷歩いているときとかもなんだかこみ上げてくるものがあって。一日たった今でも映画について考えるとうるっときてしまう。こんなことかくと情緒不安定かって思われてしまうかもしれないけれどたぶんこれ映画の力です。
映画『スプリンク・フィーバー』

ジャン・チェンを演じたチン・ハオは妖艶でした。どことなく獣というか、激しさを含んでいるように感じた。
そしてリー・ジン役のタン・ジュオ。彼女はこれが役者デビューらしいのだけど、彼女にメロメロです私。映画の中で二回髪を切るのだけれど、そのたびにきれいになって魅力を増していた。彼女のカラオケシーンは最高でした。
個人的に今年見た映画のヒロインは、このタン・ジュオ演じるリー・ジンと『息もできない』のキム・コッピ演じるヨニが二強です。

郁達夫の詩?小説?が何度か引用されていてとても印象に残った。読んでみたいと思ったけど現在は絶版の模様。

映画『スプリンク・フィーバー』

こんなやるせなく春風に酔うような夜は  私はいつも明け方まで方々歩き回るのだった  
『春風沈酔の夜』郁達夫



【追記】
カラオケシーンにて使用された楽曲について、アップリンクの社長さんのブログに動画が載っていたのでこちらにものせます。いい曲です。映画見た後だからなおさら。
PuShu - those flowers