monkey business

本を読むのは好きなものの世に言う読書家からは程遠いので今まで無縁だったのですが、この度初めて文芸誌というものを読みました。
それがこちら

モンキー ビジネス2008 Spring vol.1 野球号

モンキー ビジネス2008 Spring vol.1 野球号

最近柴田元幸訳の小説をいくつか読んでいて興味を持ちましたこの文芸誌。図書館にあったので創刊号を読んでみました。
読んでいて感じたのは"広告が少ない雑誌っていいなー"ということ。すっきりしています。
中身について。ほとんどが読んだことのない作家でしたが気に入ったのはハーマン・メルヴィル『書写人バートルビーウォール街の物語』、ダニイル・ハムルス『―ハムルスの世界―ひとりの男がいた ほか』。
特に『バートルビー・・・』は、バードルビーの不気味さと、それにどんどん巻き込まれてしまう語り手および周りの人々の様子が読んでいてどきどきしました。短い作品なんだけどすごく面白いです。
メルヴィルは『白鯨』で有名ですが小説を読んだのはこれが初めて。ハムルスはこれで知りました。

私は(自分にとっての)新たな作家を探すのが苦手で、図書館や本屋に行ってもいつも決まった作家のものばかり手にとってしまうのですが、色々な作家を載せる文芸誌というのはそれを広げるためのものなのではないかと感じました。大きな出版社の発行しているものより、こういった小さなものの方が密度というか個人的に柴田さんが選ぶものをなんとなくですが信頼しているのでグッと来る確立も高いのではないかと、自分の力で探し当てられるような多読な人間ではないので思ってしまいます。他の号も読んでみよう。

巻末に書いてあったことによると、

  • monkey businessは柴田元幸責任編集の文芸誌
  • 毎号柴田氏が現代と古典をそれぞれ一作品ずつ翻訳
  • 日本の古典作品を一つ掲載した上で、誰かがその作品について自由に書く
  • 古典作品の漫画化
  • 国内外の作家数名による読みきり連載
  • 小説・イラストを誕生月による公募

ということ。2008年に創刊されたこの雑誌は現在11号まで出ているそうです。
http://www.villagebooks.co.jp/villagestyle/monkey/index.html