引き伸ばし

風邪をひいて昨日は一日中寝込んでたのですが、今日になり少々回復したので映画を一本見ました。
ミケランジェロ・アントニオーニ監督による1966年制作のイギリス・イタリア合作映画『欲望』(原題:BLOW-UP(引き伸ばし))

[あらすじ]人気写真家の男はある日、公園で偶然居合わせたカップルの写真を撮るがそれに気付いた女にフィルムを渡すようしつこく迫られる。写真家は別のフィルムを渡してその場をごまかすが、本来のフィルムを現像してみるとある重大なものが写っていることに気付き・・・

てな感じのサスペンスタッチで物語は進みます。
音楽がハービー・ハンコックだったり、ジェフ・ベックジミー・ペイジが在籍していたヤードバーズのライブシーン(ギター破壊つき)があったり、当時20歳前くらいのジェーン・バーキン(写真右)のヌードシーンがあったりと現代からみるとやたら豪華です。
以下ネタばれ含む感想。

この映画で秀逸なのは、主人公が写真に写っているものに気付くシーンとラストのテニスシーン。
前者はまさにサスペンス。主人公はフィルムを現像・プリントしたものに何か違和感を抱く。この時点では主人公も観客も何が写っているのかまだわからない。しかし主人公が何かに気付き、原題通り”引き伸ばし”することで観客もそれに気付く。このシーンではテンポよく新たに引き伸ばされた写真が画面に登場して、どんどん引き込まれていった。これは巧いなー。
後者は顔を白く塗った集団がすごくよかった。彼らは冒頭から何度か出てきて反戦デモをしてたりしたから、彼らが将来ヒッピーとかに派生するのだろうか。60年代だし。この年代詳しくないので後で調べてみよう。
ともかく彼らは主人公の目の前でテニスのパントマイムを始める。二人が打ち合いをして残りは観客。役者がうまいのかカメラワークが良いのか、はたまたその両方か、この様子を見ていると実際にボールがそこにあるようななんとも不思議な気分がしてくる。主人公も同様なのだろう、コートの外に出たボールを拾って彼らに投げ返す。そしてラスト。
このテニスのシーンを見れただけでも、私はこの映画をみて良かったと思うだろうな。そのくらい印象的なラストシーンで、観終わってすごく興奮した。

どうやらとても大好きな映画になりそうです。
60年代イギリスの色鮮やかなファッションや主人公の写真撮影する様もみどころです。
主演の俳優さんどっかでみたような顔なんだよなーと気にしながらみてました。正統派のイケメンって感じではないのだけれどきになります。ポール・ダノみたいな感じ?あと誰かのレビューでポール・マッカートニーに似ているってあってちょっと納得。

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