It was perfect...

ナタリー・ポートマン主演、ダーレン・アロノフスキー監督の『ブラック・スワン』を公開初日に観てきた。思ったよりもホラー要素、痛いシーン満載で、鑑賞中何度かビクッとしてしまった。

劇中の「君の道を塞ぐのは君自身である」という台詞にこの映画の大半が集約しているのではないかと思った。
冒頭のナタリー演じるアンの夢のシーンから大音量で白鳥の湖が鳴り響いて、その時点で心つかまれた。予告編等観る限りでは、健全なダンサーが精神的崩壊していく話かと思いこんでいたため、不安定な状態から始まったのでちょっと面食らったり。鳥足への変態シーンなどはちょっとやりすぎでどうなのかとか思ったけれども、緊張感続く圧倒的な映画だった。

なんといっても終盤の公演シーンが素晴らしかった。白鳥から黒鳥に変わってからのダンスシーンは本当にゾクゾクした。あのメイクと赤い目は恐ろしい。舞台袖に引いてからの白鳥と黒鳥の対比もすごかったなぁ。一番好きなシーンは、黒鳥から白鳥に変わるときの楽屋のシーン。あのときの泣きながら化粧をする、すべてから解放され、またすべてを受け入れたようなナタリーの表情は素晴らしく美しかった。最終幕での、クライマックスへの高揚は久しぶりの感覚で、大音量で鳴る音楽、観客の盛り上がり、"perfect"というナタリーの台詞と表情、歓声と拍手が鳴り響く中でのホワイトアウトは、エンドロールが流れるあいだ圧倒的カタルシスに浸るしかなかった。

映画はアンの視点で描かれているのでミラ・クニス演じるリリーはとても不気味な存在なのだけれど、アンの幻覚部分を除けば非常にいい人だなぁと。他のダンサーがアンに対して皮肉ったのを制止している場面があったし、妬むことなく素直に賞賛の言葉をアンに送っているし、とてもサバサバしている。アンのお母さんも実際はあんなに怖くはないはずだ、と思いたい。リリー自体も妄想の産物だという説を見かけてなるほどと思った。
ウィノナ・ライダーがエンドロールでDying Swanとクレジットされていたように斜陽ダンサーを演じていたのが、実際の彼女と重ねてしまって少し切なくなった。

観賞後打ちのめされた勢いのままタワレコに寄り、Clint Mansellによるサウンドトラックを購入した。

BLACK SWAN

BLACK SWAN